撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

寄り添うこと(純情きらり)

 達彦が苦悩している。戦争で、心に傷を負っている。


 鈴村さんが気持ちを思いやっている。考えれば、この人も深い傷を
負ったはずだ。それが、こうして回復するまでにはどれだけの苦しみが
あったことだろう。杏子が以前言っていた。ひとは絶望したままでは
いられない・・と。はい上がって、ちいさなちいさな希望を大事に育てて
きたのだろうと思う。寄り添うひとがいることは幸せなことだ。
 「頭では思い出しても、心では思い出せない」辛いことがあった以前の
記憶のことだ。あまりのショックで。そして、達彦の場合は、幸せに
心が向かうことを、自分でブレーキをかけている。その資格はないと。


 目の前にいるのに、どこか遠いところをみているような気がする
 抱えるものがあまりに大きすぎて自分と違うような気がする


 「ハチミツとクローバー」で、手が動かなくなったはぐみに、いったい
何ができるかと、山田さんが悩んだことがあった。
 側にいていいのだろうか・・と悩むときに、世界が違うとか、私には
おこがましい、とかそうやって遠巻きにしていると、結局悩んでいる人は
ひとりぼっちになってしまう。君は残りなさい、ともだちなんだろう?
と背中を押したのは野宮だったな。


 苦しんでいる人に必要なのは、病名を告げることでも、原因を追及する
ことでもなく、ただ、寄り添うことだ。近くに、遠くに・・ただ見守る
ことだ。決してひとりぼっちにはしない・・と。
 桜子は、達彦さんが好きだから!迷わず一緒にいるのだろう。


 あの達彦さんが何故?と歯がゆい思いをしている多くの人・・・その人達
全てが、苦しんでいる人に寄り添える人になれるんだ・・と思う。ドラマは
繰り返し、「幸せになろう」とわたしたちに呼びかける。一番幸せに
なっていいはずの、達彦のような、きれいな魂をもっているひとたちが、
世界中の色々なところで苦しんでいる。なにも出来ない私だけれど、桜子の
ように「しあわせになろう」と呼びかけたい。そして、もし振り向いたとき
にはそこにいられるように、なにも出来なくても、ほんのひとときだけでも
寄り添えるような、そんな透明なこころを持っていられたら・・と思う。