撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

平治とカツノ(どんど晴れ)

 柾樹が加賀美屋に帰ってきた。おばあちゃん、カツノのところへも
夏美と共に挨拶にくる。そこへ平治さん。「あんたのうれしそうな
顔でも拝もうかと思って・・」っていいね。好きなひとが嬉しそうな
顔してるのを自分の幸せにできるってしあわせだ。


 そこへ柾樹を呼びに来た環さん、苦手な平治さんがいたもので
あわてふためいてしどろもどろ。ほんとにこんな風に苦手な相手って
いるんだね(笑)。


 そんな姿を不思議に思う、平治。カツノに聞いて「あんな昔のこと
を、まだ根にもっているのか!?」とびっくりするやらあきれるやら。
それならおめえさんのこともさぞかし・・とカツノに同情する様子。


 このふたりが、環さんのことを嫌いだったり、恥をかかせようと
思ったりして言ったのではないことがこれから充分伺える。多分、
自分の素直な心の動きだったり、間違ってない、ただの事実だったり
したのだろうね。しかしながら、環さんのほうからみれば、事実な
だけに許し難い屈辱だったのかもしれない。どうしてもかなわないこと
それ自体が彼女にとってはたまらないことだったのだろう。


 どうしようもないことってある。ひととひとの相性だったり、特別の
才能だったり、容姿だったり、考え方のくせだったり・・。どうしても
その部分ではかなわない人っているにはいる。しかしながら、なにかが
すぐれているからといってその人のほうが偉いわけではないし、どこかが
どうしても出来なくても、それでその人のすべての価値が下がるわけでは
ない。ましてや、そんなことで人を見下すようなひとだったら、どんなに
すごい才能をもっていてもとんでもないやつだと思う。


 なにかあったとしても、そのことにいつまでもこだわっていたら自分が
そのことに縛られてしまうのだろう。苦手なひとやものをつくるのは
自分にとってもつらいこと。忘れたふりをして逃げるのもよくないけれど、
いつも目をそらして誤魔化すのもいいとはいえない。自分も相手も刻々と
変わっていっているのだもの。また向き合えば、またちがう巡り合わせに
なるかもしれない・・・。


 平治とカツノが、ふたりしてどこか飄々としているのがいいなあと思う。
年をとっても、一人きりになっても、こんな友人がそばにいてくれたら
ちょっと楽しい・・と思ってしまいます。