撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

いただきます(どんど晴れ)

 加賀美家揃っての写真撮影。加賀美家揃っての夕餉の食卓。
食卓に笑顔が溢れる。食卓に花びらが降るように・・・。


 カツノの最期が近いことを知るひと。何が出来るというわけ
ではないけれど、どうぞ、そのときまでに美しい思い出を重ね
られますように・・みんなの記憶に、カツノの記憶にやさしい
日々が残りますようにと願うひとたち。


 なんの変哲もない普通の食卓ではあったけれど、みんなが
言葉を交わし、笑顔を交わし、そしてカツノの言葉に合わせて
「いただきます」をいう、その平和で幸せな食卓。一緒に同じ
ものをおいしいね!って食べることって、愛情を交わすことに
他ならないと思えてしまう・・・。


 平治さんが珍しくカツノに息子政良のことをいう。きかない
カツノ。それでも、夏美に遠野の住所を聞いてでもなにかを
しようとしている平治。


 残り少なくなった命でも、その最期まで自分で見届けることが
できるのならいくらか幸せだ。そしてその命を見守るひとびとが
周りにいてくれるのならそれは幸運なことだ。そして、生きて
いるうちには駄目だ・・というカツノが本当は生きているうちに
すべきことを、一番長いつきあいの平治が手助けをするつもり
なのだろう。けっして越えなかったふたりの境界線を、縁側から
内側の世界へ、この間はカツノが後見人として平治を頼りにした。
今度は、人間として、情愛の部分として、どうしてもさせたいこと
を、平治がカツノに向かって働きかけるのではないかと思う。