撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

夫婦の会話って(芋たこなんきん)

 夫婦の会話って業務連絡や子供の個人面談みたいなもんや
ないやろ?・・町子が孝子へそういう。何が好きとか、いま
どんなこと考えてるとか、しゃべってしゃべってしゃべり倒す
くらい会話しなければいけないのは、まずあんたたち夫婦じゃ
ないの?と。


 よしみを巡って町子と孝子がいろいろしゃべっている間、
何も言わずに横顔を見せていた健次郎さんから目を離せなかった。
逃げも、目をそらすこともせずにただ黙ってみていた。そして
最後に口を開けひとこと・・。黙っていなくなったことについて
あかんっていわれてもきちんと話さんといかんって。話しても
話してもあかんって言われたらその時は我慢せんといかん、
「あんたは、二人の子供なんやから・・」って。


 わたしの子供って、責任を持って言い切れるところ、なんの
ためらいもなく二人の・・っていうところ、さりげないけれど
なかなかこんなにはっきりとかたちにあらわせないような気が
する。主人にきいてみる、とかうちのと相談して、っていうより
根っこのところでふたりが信頼しあっているよな・・と思って
しまう。そして、その健次郎さんの言葉に頷いている町子さんが
また、信頼しあっているようで、とても落ち着いて見えた。


 子供の問題にぶつかると、夫婦の関係に行き当たる。夫婦の
関係を考えると、本当に楽しく会話するってどんなことだろう?
と時折考える。家庭という広く深い世界を感じながら、その
上っ面を慌ただしく行き来しているだけでじたばたしている毎日に
少し不安を感じる。おしゃべりなはずの私だって本当に伝えたい
ことはなかなか伝わらない・・とじれじれしているように、まだ
その術さえ幼い子供達は心の中にかたちにならない感触や言葉に
出来ない想いをため込んで必死で耐えているのかも知れない・・。