撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

正直な気持ち(さくら)

 さくらのハワイのグランマの言葉が印象に残る。


「自分の正直な気持ちを認めること・・」


 さくらの父にも・・さくらにハワイに残って欲しいという意見は
仕事のことだけでなく、自分の心の中にある別のものでも出来上がって
いるのではないか?それも認めなければ・・と。


 そしてさくらに・・いいこちゃんになる必要はないのよ。ひとを
傷つけることになったとしても、あとで考えたらそれで良かったんだ
って思えることもあるのだから・・と。


 さくらのおじいちゃんが前にさくらに言った言葉を思い出す。
一番してはいけないことは、自分のこころに嘘をつくことだ・・と。


 その東京のさくらのおばあちゃんは何とも魅力的だ。嘘を
つかない。無理をしない。桂木が来たことをさくらにしゃべったこと
も、「言いたかったんだもの・・どうしても!」。さくらがハワイで
仕事をするか、日本に来るかを選ぶのは自分自身・・という話の
時も「本当は帰ってくればいいんだけど・・ね」と。


 真実と偽りでもなく、本音とたてまえでもなく、本当に心の中に
ふたつの想いが交錯するときがある。たとえば、頭で考えたことと
心で感じたことのように・・。どちらが正しくてどちらが間違って
いる・・などということではなく、揺れ動き、引き裂かれそうな時も
ある・・と思う。


 どちらに決めるかは、その時次第ではあるけれど、まずはその
どちらも自分のほんとうの気持ちなのだということを認めてやらなければ
ならない。そして、できれば相手があることなら、相手にも伝えること
ができれば・・と思う。


 ひとは、ひとに認めてもらいたいとどこかで思っているように
自分の心のなかにある想いも、どこかで、顕わし、開放されることを
願っていることを感じることがある・・・。