撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

すれ違う想い(さくら)

 どうして、お互いのことを想うふたりがこんなにぎこちなく
すれ違ってしまうのだろうと、歯がゆくて仕方のない、ここ
何日かの「さくら」。


 相手のことを思う故の、桂木先生の「行ったほうがいいぞ」
という想い。その気持ちは充分感じながらも、自分がこんなに
相手のことを恋しがっているのに、相手は自分を引き留めて
くれはしないのだというさくらの淋しさ。


 さくらが気持ちを確かめようとしたときには、「行ったほうが
いい」の一点張りで自分の気持ちを見せようとしなかった桂木。
 その桂木がもういちど話をしようとしたときには、もう失恋
したものとしてあきらめます、とハワイに帰ることを決めて
しまって何も言えない状況になってしまっているさくら。


 想いが届くのには、想いを理解するのには、時間が要るのでは
・・と思う。どんなに相手のことを思っていても、いつも一緒に
いて、同じ空気を吸い、同じものを見つめ、ぴったり同じ考えを
同じ言葉で表せるほどに気持ちが重なっているときには、どんな
言葉もそのまま胸に染み渡り、気持ちも理解できるけれど、何か
心配事があったり、難しい話をするときには、相手の言葉が
相手の想いそのままに届くとは限らなくて、それを理解し、正しく
受けとめるのに、いくばくかの時間が必要なのではないかと思う。


 そして・・そのやさしい時間が持てるときはいいけれど、ひとつ
間違えると、こんな、ボタンを掛け違えたような、なんともちぐはぐで
切ないすれ違いが起こってしまう・・・。


 きっと・・いつか気づけるとは思うけれど・・・しばらくは
この切ないふたりを見守るしかないのかな・・・せつないね・・。