撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

二度目の旅立ち(どんど晴れ)

 夏美が作ったケーキに「食べなくても分かる、どうせお前と同じ
中途半端な味だ!」という父。なんかムッカーッッッ!!


 でも、夏美の方が一枚うわて。それはわかってます、でもこれが
いまのわたしの精一杯のものです・・・。まったくもうこの子は・・。


 職人としてのあなたが許せないんでしょ?と、お父さんの精神の
二重構造を見抜くお母さん。分かってるなら言うな!というお父さん
なんだかお母さんに甘えすぎだよな。職人として辛いこという娘の
フォローだって、父とのジレンマに悩む夫の不機嫌だってどちらも
あたしがいつも面倒見させられてるんだから!って言いたいかも・・。
 お父さんにケーキあ〜ん・・と見せかけて自分で食べちゃったお母さん
なんだかそのちいさな仕返しが見ててスッキリしたりしました。
 まあ、続いている夫婦はそれなりに上手くやっています。また、
それぞれがそれぞれに影響を与え合っているのだから、お互い様とも
いえるしね・・。よその旦那さんにわたしが文句をつける必要はないな。


 でも、娘はその父の心を汲み、きちんと成長していってるんだよな。
というか、カエルの子はカエル?どこかで親子似ているんでしょうか?
よくもまあ、こんなにくじけずに・・と思えるのは、強烈な自分という
ものを持っているからなのだろう。職人気質の男が自分の道を突き進む
のと同じくらいの覚悟で、女将たるものその道を突き進まなければとても
使い物にはならないんだろう。人の喜ぶ顔をみたい・・とはいえ、その
相手はお客さまという、自分を見てくれる観客のようなもの。普通の
女が、恋人や家族のために自分の愛を注ぐものとは似て非なるものだ。
 えみこさんが、女将になることをやめたのは、そのことが充分わかって
いたからだと思う。


 女将になるのも大変だけれど、女将の夫になるのは、男として相当
大変なんじゃないかと思いますよ。まあ、愛しているから・・といって
甘え倒す男にくらべたら、女の方が少しは気遣いができるとは思うけど・・。
 男と女が、自分の今までを変えてまで一緒にいたいと思ったら、お互いの
特に男にとっては強烈な、プライドのぶつかり合いになるのではないかと
思います。どちらかがどちらかにあわせるのではなく、二人で新しいものを
作っていけるかどうか・・。愛情は勝ち負けでもないし、譲り合いでもないし
それでも、ずっとつきあっていこうと思ったらその場しのぎのことでは
いつか歪みが出るし・・なかなか根気の要る大変なことのようですね。


「柾樹さんへの想いは変わらないから・・」そうそう、それが確認出来なきゃ
そのうち、「オレと結婚したいのか?それとも女将の座に着きたいのか?」
なんてことになっちゃいそうですもんね(笑)。