撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

極上の月夜・千手観音

 たまたま観た番組で初めて知った。聴覚障害を持っている方々の
演ずる、中国の至宝と言われるパフォーマンス。


 息を合わせる、という言葉の本当の意味を教えてもらったような
気がする。気配を感じるということは、ひとつの能力であるという
ことも・・。そして、どんな感覚も、能力も、研ぎ澄ますことが
できるということも教えてもらった。


 いろんな国のいろんな状況があるから、一概にどれが幸せだとか
どれがいいとは言えないけれど、とにかく美しかった。むしろ、その
背景はあってもなくてもいいとさえ思えた。千手観音を演ずる人たちの
生き生きとした笑顔と、その演技の理屈を超えた美しさ、神々しさが
すべてを物語ってくれていると思った。


 美輪明宏が日本のエンタテーメントはぬるま湯だと言う。それも
真実かもしれない。問題は、本物に触れる機会があるかどうかだ。
本当に美しいものを素直に選び取ることができる環境があるかどうか
だ。目の前のものだけ、金儲けになるものだけ、教える人に都合が
いいものだけ・・・そんな片寄った情報だけに溺れていては何が
美しいものなのか自分で考えることは難しいように思う。そして、
本物を知らなければ、本物を目指すことは無理だと思う。


 日本と中国の友好のために踊りますと言ってくれた彼女。美しいもの
は、本当に国境を越えると思う。踊りももちろん見事だったが、その後
踊った方々と、番組の出演者、どちらも満足そうな笑顔と、感動で涙
ぐんでいた表情と、その幸せな気配がこちらまで伝わってきたのが、
とても心地よく感じられた。極上のパフォーマンスは、百万の言葉より
何かを伝えてくれることがある。


 欲を言えば、せっかく出てきた大好きな三宅裕二さんと松岡充さん、
後ろに今現在のゲストがいらっしゃるのに来週のことに触れるのは
あまりお行儀がいいとは思えませんね。テレビ局の構成だとは思う
けれど、これこそ美輪明宏さんに「おかしいんじゃない?」って
突っ込んで欲しかったような気がしました。別撮りで、おまけ部分に
入れた方が好ましいと思いますよ。内容が良かっただけに、「所詮
テレビか・・・」とがっかりさせるような部分がないように極上の
つくりにして欲しいと思います。