撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

依子さん

死なない人
わたしが生きてるあいだ中わたしといてくれるひと


理想の人を聞いたらそう即答した依子さん
その日はそれ以上一言も話せなかった
いつもにこやかで私が落ち込んでいるのを励ましてくれる彼女が
そのあと一言もしゃべらず
何曲かじっと曲をきいたあとごめんねってつぶやいて
ふいと店を出て行ったのだった



ねえ、マスター
わたしなんか悪いこと言ったかなあ?
うん?どうかなあ・・
え?そんなことないよって言ってくれないの?マスター!
ははは、そんなことないよ〜
もう!今頃いってくれても遅いし〜!


マスターはあちこちで映画に関してとか
音楽に関してとかの文章を書いていて
それを読むととてもロマンチックでまた理論派で
なるほどなるほどとあんまりわかんないことも
すっごくよく分かる気がしてこういうのいいなあと思うのだけど
実際に会うととっても礼儀正しくてシャイなおじ様
早くからその文章に出会っていた私は
依子さんに連れられてこの店に来るようになってから
随分と経ってからそのこととこのマスターが一致した



まあ、ね
大丈夫だよ
依子さんは相手に文句があれば
ちゃんと相手に言うひとだから


マスターは依子さんのこと
ずっと前から知ってるの?
ん〜・・いつからだったかな
知ってはいたけど話すようになったのは割とこのごろ
だって依子さん人見知りじゃない?
大切なことはきちんと言うけど
あんまりおしゃべりでもないしね


ええええ〜〜〜!
マスター・・それほんと?
私の知ってる依子さんと違うかもです・・・