撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

最期のときを想うとき

ふたり並んで寝そべって
とりとめのない話をする


以前、南の島に行こうって話したよね
うん覚えてる
ヨーロッパも行きたい
パリもいきたいし、ローマにも行きたいから
うん、いつか行こう


一緒に世界一周したい
世界一周?それってどれくらい?
どれくらいだろう・・とにかくずっとふたり一緒
わあ・・めまいがしそう!
そのときは・・・もしそのときは・・・


あなたがわたしの顔をすごくまじめな顔で見つめた
それだけでわたしはもう息ができなくなったように苦しくなった
嬉しくて幸せで怖くて泣きそうだった


ずっとずっとふたりでいることは明日につながる明るい考えだった
生きることに、開くことに向かう感情だった
今でもそれはなにひとつ変わらない
それでも不思議なことに
ふと自分が最期の時を迎えるときのことを考えると
この目の前にいるひとのこの手のぬくもりを思い出すのだ
そしてそう考えるときもまた明るい光に満ち溢れているのだ
死ぬことが怖くないわけではない
死ぬことは生きることの裏側にいつもあるのだと
ただ静かな心でそう感じているような気がする