撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

応えてくれるもの(ちりとてちん)

 初めて四草の年齢が・・一瞬「ドリアン・グレイの肖像」なんて
思い出してしまったわたしって・・だって四草美しくって悪魔とか
似合いそうなんだもん。・・ってほど年ではないんですが(笑)。


 端正っていう言葉はこれまたぴったりでしたね。美しくって
クールで、でもホントは生きることに一番不器用なんじゃない?
四草くん。


 傷ついた九官鳥を前にして「賭けますか?」と言った四草の
もとの心はいったいなんだったんだろう?こんなことを賭けに・・
と思いそうなその一瞬に「死ぬ方に賭けるわ」といった草若師匠の
一言は凄いと思う。それは、四草に助かる方に賭けさせるという
ことで・・。


 自分が生きていることにすら素直になれないで、自分の親のこと
も突き放して語ることしかできなくて・・。それでも本当は強烈に
生きていきたい、愛されていたいと思っているに違いない四草。
「賭けたから・・」「お金のため・・」という理由をつけながら
本当は心からやりたいことをやっているに違いない。ひとに何かを
投げかけることが怖くて・・応えてくれない淋しさを思うと怖くて
・・本当はあたたかいてのひらを待っていたのかもしれない。


 「この九官鳥をください」というひとことは、四草の初めての
素直な言葉なのかもしれない。なんや・・ホントのこと言えるや
ないか、と言ったような師匠。師匠に頭をくしゃくしゃと撫でられた
四草は、この人にはかなわない・・と笑っていたように見えた。
 平兵衛・・とつぶやいたら、へいべえ!と喋った九官鳥がまた
四草に、人に何かを投げかけること・・ひとが応えてくれることを
教えてくれているような気もした。