撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

正太郎ちゃん・・(ちりとてちん)

 「愉快なときは笑ろたらいい」・・喜代美に会えて、そのことを
思い出したというおじいちゃん。おまえはこれからぎょうさん笑え
と言い残し、素直な気持ちを残して逝ってしまった。


 あきらめたらあかんというおかあちゃん。「どうやって?」「頑張
って!」の掛け合いに笑いました。でも、そうなんだ。後ろ向きに
生きると難しい問題が出てきたときに、誰かや何かを責めることしか
出来なくなる。これからみんなでそれぞれが何が出来るかを考えて
いくことが前向きに生きるということだ。


 誰もせめられるようなことはしていない。おじいちゃんはもう一度
みんな揃ってご飯食べられただけで幸せだったに違いないという小梅
さんことおばあちゃん。


 正太郎ちゃんと呼ぶ小梅さん。素直に笑うことを「思い出した」と
いう正太郎おじいちゃん。きっとふたりが出逢って恋におちたときには
あのおじいちゃんがいっぱい笑ったんだろう。あのおばあちゃんが
とろける笑顔を見せたのだろう。大切なものは、余計なしがらみを
はずせばはずすほどシンプルに輝いてくる。


 塗り箸って、お箸・・食べることなんだなって思う。イタリア人の
「食べること、歌うこと、愛すること・・」のように、もしかしたら
「食べること、笑うこと、愛すること・・・」大切なものって、それ
くらいシンプルなことかもしれない。


 おじいちゃんのいない工房で落語を聞きながら涙のとまらない
喜代美。一生懸命生きてきた大人は、どんな出来事もやがて懐かしい
思い出になってくれることを知っているから耐えられることもある
けれど、子供はただ心に空いた大きな穴に涙を注ぐことしかできない。