撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

心配しないで・・(どんど晴れ)

 カツノの容態が心配ではあるけれど、自分が行かなければ
何かあったとみんなに心配を掛けるから・・と結婚式場へ向かう
環。心配していたみんなの前で、大丈夫ですから・・と笑顔を
つくる。それでもざわつく出席者に、明るく話しかけるカツノの
息子である久則。事情を知っているからこそ出来る気遣い。妻、
環の想いも、母カツノの願いも分かるからこそ出来る気遣い。
 心配でないはずなどない。しかしながら、大切なことをやり
遂げるためには、その心を隠してでも笑顔で立っていなければ
ならないときもあるのだ。久則と環が二人きりになってから
大丈夫なのか?と久則に聞かれた環が答えた「大丈夫ですよ」
という言葉は、まるでそうあってくれ・・という祈りをこめた
信念の言葉のように聞こえた。


 後半は、これまでのさまざまな思い出が思い浮かべられる。
いまの信じ合う静かなふたりに対して、なんていろいろな出来事
があったことか!結ばれるべくして結ばれたように感じられた
ふたりにこれだけ多くの困難と危機があったとは、なんだか
思いがけなかった。そして、柾樹の静かな優しさも、夏美の
素直な明るさも、出逢った頃と比べものにならないほど、深く
なかみのあるものになってきたこと・・!


 厳かに始まったばかりの結婚式ではあるけれど、心の中では
早く無事に終われと願っている。そして、カツノにふたりの
姿を見せてやりたいと・・。時よ早く進め・・と思う一方で
カツノの時は、いっときでも永く続け・・と願っている・・
何とも矛盾した、切ない、この佳き日・・ではある。