撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

自分で乗り越えるしかない(どんど晴れ)

 若女将として明るい笑顔を見せる夏美。夏美と柾樹が加わり
賑やかに和やかな加賀美家の食卓。カツノの死を乗り越え、
落ち着いたかにみえる加賀美屋・・・。


 大女将の部屋にひとり座りもの思いに沈む夏美。もちろん
声を掛けられればすぐにもとどおりに戻りはするけれど。


 線香でも・・とやってくる平治。お礼を言い、そしてもう一言
言いあぐねている環。ただ・・なんだ!と平治に言われびびり
ながら(笑)夏美さんが・・と打ち明ける環。


 みんなが夏美のことを心配している。夏美が大女将の死という
大きな悲しみを胸に抱えながら、若女将という新しい自分に
必死になっていて、自分の気持ちをどこかに置き去りにして
しまいそうだから・・。悲しんで、淋しがって、思い出して
懐かしがって・・。繰り返し繰り返し、そうすることによってしか
失った愛しい人を優しい思い出に変える術はないのに・・・。


 平治さんが、環に、あんたがいるから・・と言った場面がとても
印象的だった。平治がいまひとつ苦手だった環だけれど、苦手と
こだわることもないほどに、平治は絶え間なく新しく流れ、環も
また日々成長していっていたのだ。そして、カツノをあいだに
挟んでのこのふたりのご縁。亡くなったひとが残してくれるものは
思い出だけではない。ひととのつながりという、かけがえのない
宝物・・。カツノから平治を通して環へ・・。カツノから環を
通じて夏美へ・・。大切なひとびとへ、大事なことを語り継ぎ、
愛しい日々を過ごしていけば、残されたものはきっとまたそれを
語り継ぎ、思い出させてくれるのだろう・・・。