撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

よく頑張ったな(どんど晴れ)

 いろいろあった女に、「よく頑張ったな・・」なんて、なかなか
言えるもんじゃない。柾樹が彩華の話を聞いて、自然とそう声を
かけるっていうのは、ふたりの昔の関係がほんとうに家族のように
親しかったんだろう・・懐かしい仲間だったんだろう・・って想像
は出来るけど・・・。


 女からしてみれば、それも、ひとり気を張って懸命に生きている
からしてみれば、そんな言葉を掛けられたらたまらない。それは
ある意味、反則だよ(笑)。自分が引き受けられる立場にいるわけでも
ないのに、そんな心をあけわたしてしまいそうになるセリフを吐かない
でくれぇ〜っ!って。今日の彩華ちゃんが柾樹の胸に飛び込んだのは
なんの邪心もないことは一目瞭然です。それを咎めるのなら、その
責任は柾樹にあると思いまぁす(笑)。


 入院している母の前でも気を抜くことの出来ない彩華。彼女が心を
落ち着けて甘える場所はいまはもう親のもとにもないのだ。母の前でも
「いい娘」を演じているように見える彩華。いや、もともといい子
だったんだろう。いい子で、あこがれのひとで、しっかり者で・・。
 恵まれた家庭で、何不自由なく、親に愛されて守られている間は、
それはなんの苦労もなく本当の自分だっただろうけれど・・・。


 柾樹に「彩華らしくない」と言われ、思わず「あたしらしいって
いったいなによ!」と声を上げる彩華。彼女自身も、自分らしさに
縛られて、甘えることも、弱音を吐くことも出来ずに苦しんで来たの
かもしれない。そんな彩華にとっては、幼なじみの柾樹は、忘れかけて
いた、もともとの本当の自分を出せる相手なのかもしれない。


 彩華は昔とひとつも変わってないよ・・という柾樹。ひとは、いろいろ
な事情で、いろいろな顔を見せることがある。しかしながら、そんな
しがらみや、邪心や、思惑を、すべて綺麗に取り払って、素直な自分に
戻ったら、子供の頃の、透き通ったこころと曇りのない笑顔に戻れる
のかもしれない。柾樹は、彩華をそんな彩華に戻せる、ただひとりの人
なのかもしれない。もういちど自分に戻るための抱擁・・。
 柾樹は、意識するかしないかは別として、そこまで考えての言葉掛け
だったと思いたいな。彩華が本来の彩華を取り戻したら、婚約者のいる
柾樹に心揺らすようなやわな女じゃないことは、なんだか分かる。親切な
ことに、小田和正さんまで「きっと大丈夫」って歌ってくれてるし(笑)。


 「純情きらり」の不倫騒動に懲りたのかNHK!心配しなくても、冬吾さん
ほどの危ない匂いはしません、柾樹くんには・・。ただ、思ったのは、
男には、恋人には見せない様々な顔があるのだろうということ。人間関係に
しろ、仕事にしろ・・・。それくらいのキャパをもってないと、その一角
である、一緒にいるときが魅力的には見えないよねぇ。すべてが見えてしまう
ような安心できる男はいまひとつ物足りないし、後ろにいろいろ見え隠れ
するような男は何だか落ち着かないし・・。様々なものを、ただ自分で
ひっそりと、しっかりと、受けとめて、持ち続けるほどの人間の力のある
ひとが、どこかしら惹きつける魅力を放つのだろうなあ・・・。