撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

後ろ盾(どんど晴れ)

 そろそろ女将修行に決着をつけていい頃なんじゃない?と
カツノが環に言ったのには訳がある。環自ら企てた決着の
つけ方で、カツノの思うようにことが運ぶなら、環に文句を
言わせずに決着をつけられるというもの。


 思いも掛けず、夏美が格式・しきたり、というものを尊重し
カツノも環もびっくりする。旅館というものは、そのしきたりに
のっとった上で、おもてなしを楽しむものなのだから・・と。


 そんな夏美を引き出したのは、他でもない柾樹だろう。ホテル
の仕事をしながらも、ホテルと旅館の違いを知り、加賀美屋の
あるべき姿を知っている・・。


 かたや、環側の人間といえば、調査員の来ることを環の言いつけに
背いて彩華に知らせ、それを女将対決に使おうとしていることを
カツノに悟られ、おまけに以前来たことのあるはずの客を調査員と
見誤り・・・はぁ・・いいとこないじゃん・・。


 夏美には大女将という強力な後ろ盾がある・・と怖れていたのは
他でもない環。しかしながら、それ以上に、今回はその構成員と
いうか、共犯者というか、とにかく環さんと一緒にことを起こそうと
しているひとたちが、悉く彼女の足を引っ張る形になったのが、
なんとも滑稽で・・環さんが正々堂々と(勝算を計算していたのは
別として)勝負しようとしていたのに、可愛そうに見えるほどでした。


 何かを成し遂げる人って、ほんとに、その人だけの力じゃなくって
まわりの力添えとか、巡り合わせとかあるんだろうなあ・・って
思います。それから言えば、柾樹と夏美がめぐり会ったということは
大きな大きな運命の流れに沿った出来事だったのかもしれないなあ・・。