撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

仲直りは・・(芋たこなんきん)

 仲直りは勝ってる方がいうもんや。勝ってるうちに早うゆうとったら
良かったのに・・。お偉いさんは、うまくいかんようになると、ほうり
だしてひとに任せてしまう。あんなに若い人たちが命をなくしたのに・・。


 けんかはもっと仲良くなるためにするものだ。仲直りすることが
決まっているからできるものだ。戦争は違う。戦争が終わることは
仲直りではない。負けて、その残酷さとむなしさに気づいたはずなのに、
勝ったとしても、相手にこんなひどいことをしたことになるんだと
わかったはずなのに・・・。


 すべてが空襲で焼けてしまった花岡写真館。どんな想いでお父ちゃんは
あの場所に立っていたのだろう。そこへ、駆けつけて戻ってきた町子。
お父ちゃんが流せなかった涙を代わりに流すように泣き崩れる町子を
支えて、無事でよかった、よう帰ってきた、よう戻ってきた・・と
抱きしめるお父ちゃん。救われたのは、大切なひとがいてくれたこと。
どんなときでも受けとめて抱きとめてくれる胸があったこと。すべてを
なくしても家族が寄り添ってそばにいられたこと。


 お母ちゃんがあの大変な中持ち出してくれた町子の宝物のような
荷物。人形や本や、そして家族の写真。日本の勝利を信じていた町子の
からっぽになった心によみがえり、芽生えるものはいったいどんな
感情なのだろう。