撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

せつのうてねえ(芋たこなんきん)

 親と子の関係を考えさせてもらえる話だった。健次郎さんが
のぼるをいきなりたたいたのをどついて阻止する町子さん。
叩くことはないでしょう!分かるまで話さなきゃ、という町子。


 その健次郎さんといえども、いつも叩くわけではない。女の子に
手をあげたのはただ一度だけ。自分より弱いもんをいじめるのは
卑怯なことや、と。のぼるの件も、自分がしたことをひとのせい
にするような嘘をつくなど卑怯なことや、と。


 のぼるにきちんと謝らせ、ヌイのところへも3人で謝りに行く。
謝るのぼるに、怒られたか?ときくヌイ。そして、自分のために
親がよそのひとにあたまを下げてくれたんをわすれたらいかんよ
とのぼるに言う。大人はみんなで子供にものごとを教えていたんだ
と、すこし昔と今が、なんだかすこし変わって来ているようで
胸が熱くなる。国が、子供を大切にするって、政策がどうこうじゃ
なくてこういうことの積み重ねなんじゃないかと考えさせられる。


 ヌイさんは、もう次の仕事を決めたので家政婦はやめるという。
断る理由が要るんやろう・・という健次郎さんのやさしさ。でも
このままではいられない町子さん。楽しくないわけじゃない、でも
せつのうて・・というヌイさん。町子の話をきいて、「いまも
おたっしゃで・・?」。そうだといったときの、ヌイさんの心からの
それはよかった・・という頷きがとても温かかった。


 生きていてくれれば、これからがある。どんなに苦労をかけても
恩返しが出来る。けんかをしても仲直りが出来る。どんなに申し訳ない
ことをしたとしても、謝り続けることだけは許される。どうか
せめて生きていてくれ・・と生きることの可能性がある人すべてに
お願いしたい。そして、生きていることを許されなくなるような戦争は
二度と繰り返して欲しくない・・と強く思う。


 それにしても・・ヌイさんにこれからもう一度あえるかどうかは
分からなくても、出会ったことには大きな意味があるんだね・・って
そう、思う。