なんばさつまと芋焼酎(芋たこなんきん)
「死んだら終わり・・じゃないんやねえ」「神さんに返せって
言われて返しても、利子は残るんやねえ・・」
ゆりこちゃんのために、懸命に走り回る町子さんが愛おしかった。
ただ、それだけのために、なんの雑念も入れずに、すみこさんの母の
味につながるものがないかと走り回る町子さん・・。ほんとに、先妻
さんとか、後妻さんとかじゃないんだね。ただ、好きになったひとと
一緒に生きること、愛しいひとと大切な時を過ごすこと・・そんな
当たり前のことを懸命に考えているだけなんだね・・。
生きていなければ、この実感は味わえないだろう・・亡くなった人が
淋しい・・と思うこともある。しかし、そのひとも、懸命に生き、そして
自分の人生を綺麗に自分で始末していくことで、結晶のような生をあとに
残るひとに見せることも出来るのだろう。
生きていくこと、生きていくことの素晴らしさに気づくこと、その中で
一緒に寄り添いたいと思える人に出会えるということも、素晴らしいこと
に、違いない。お母さんの味を大切に思い出しながら、町子さんの作った
なんばさつまをおいしいと味わう子供達。なつかしいなあとすみこさん
ゆかりのぬか漬けを食べる健次郎さんに、「そう!」と輝く瞳で素直に
喜ぶ町子さん。芋にはいものお酒が合うと芋焼酎を持ってくるおとうさん。
なにもいわずに、食卓につく晴子さん・・・。微笑むおかあさん・・。
透き通った笑顔がとてもうれしく思えた。