撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

その17 夢に見る

 どこまでも走る夢を見た。信じられない早さで、脚を車輪に変え
背中に翼を持つように、自分で走っているのか乗り物に乗っているのか
わからないのだけれど、絶対に起こり得ない早さで走っていた。


 山を越える夢を見る。いつもは、途中までで道を見失い、力尽きて
どこかで夢がとぎれてしまうのに、今朝の夢では新しい道を見つける
ことができた。この崖を降りるのは無理だ・・とあきらめかけた
そのとき、はるかに続く広く明るい道を見つけたのだ。その道を
すごい速度で走り続けている私。


 目覚める直前は、抱擁していた。夢のなかでは違うかたちをして
いたけれど、今おもえば、あのくちびるはあのひとのものだったと
思う。信じられないくらいからだが熱くなっていた。どうしてあんな
夢をみたのか分からなくて少し夢のことをかんがえていたら、まもなく
もう一度眠りに落ちたようで、気がつくとすごく時間がたっていて
そしていつもどおりの体温に戻っていた。本当はその時気づいたんだ。
あれはあのひとだったんだって。今度は名前を呼んで・・。逢えたら
私の名前を呼んで。そうしたら夢の中でもあなたのものになるから・・。