撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

ピアノ・・桜子と達彦(純情きらり)

 桜子もまた人生での大きな選択をした。音楽大学への入学をやめて
家族とともに生きていく決心をした。あれだけ大騒ぎして、音大を目指して
おきながら、みんなのお世話になっておきながら、ぷっつりとやめてしまう
のもどうかとは思うのだけど、それをきっかけに笛子も決心できたことだし
まあ、その気持ちにうそはないというところで、よしとしよう。


 しかしながら、ピアノまで売り飛ばすのは如何なものか?ピアノの音の
する有森家というものを、じぶんだけのものと考えていないか?「なにも
そこまでしなくても・・」という磯さんのつぶやきは、誰でも思うこと
だと思う。おまけに、笛姉ちゃんの結婚式の当日に運び出させるとは、
あまりにあまりなこと!


 音楽の道をあきらめたのがつらいのは分かる。大好きだったものを
失うのは耐え難いことも想像できる。でも、それを自分の胸のなかに、
じっと耐えて持っていられないのが桜子らしいといえば桜子らしいところ。
泣きわめくかわりにピアノを処分したのだ。見るたびに耐えられなくなる
から・・。それが周りの人にどんな想いを抱かせるかなんて、思いやりは
ない。家族のために、自分を犠牲にした、けなげな娘・・・に浸っている
桜子。


 姉夫婦の祝いの門出の日さえ、自分色に染め上げて主人公を張る桜子
(本領発揮)。そこに、達彦登場。達彦に自分の気持ちをぶつける桜子。
「いいかげんなこといわんで!あたしの気持ちなんてわからんくせに!」。
桜子ちゃん、達彦が音楽の道をあきらめたのもう忘れたの!なにいってんの
よ!と、怒り爆発寸前の達彦ファンがどれだけいたことか!


 それでも、達彦さんは、私達が考える以上に大人になっていました。怒る
ことも焦ることもなく、桜子にいいます。「わかるよ、わかるからこそ
おまえにはピアノを続けて欲しい。やめないでいれば、どこかでまた道が
開けるかもしれない」と。自分で決めて、自分で耐えてきた人なんだ、
達彦は。じっと胸のなかに苦しみを持ち続けながら、それでも逃げることを
せず、自分のやるべきことをしてきた自信。そのことが彼を一層魅力的に
成長させたのだろう。桜子の本当の気持ちまでも分かっていたのかも知れ
ない。「ここにピアノがないわ」と、なくなったピアノを持ち続けることに
よって、彼女はあの家で永遠に主役でいようとするはずだ。彼女と自分とは
違う。自分はピアノをあきらめてもやっていっているが、彼女は、決して
ピアノを捨てることは出来ない。達彦にとっては、もう桜子は音楽仲間でも
ライバルでもない。その桜子の本当の気持ちを思い量って、桜子にピアノを
取り戻してやったのだ。・・ただ桜子のため、桜子を愛しく思う自分の
こころのままに・・・。桜子を胸に抱く達彦くん、な〜んかすごく大きく
見えたわ!大人だね。この時ばかりは、泣ける胸のできた桜子がとっても
羨ましく見えました。


 さてさて、やさしくて魅力的な達彦さん、桜子なんかにもったいない!と
お考えのみなさん、握手しましょうか?でもまあ、あんな桜子の相手を出来る
のは、この達彦ぼっちゃんくらいのものでしょう。人の好みばかりはわかり
ませんし自分にないものにひかれるともいうことですし。あとは、来週の
予告で、かねさんとは思えないような優しい声で案内をして下さった
かねさんにおまかせすることとしましょう。