撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

私には音楽がある(純情きらり)


 冬吾さん登場。桜子を東京に連れて帰るように笛子たちに頼まれた
らしい。でも、そんなこと一言も言わずに、のんきな顔してごはん
おかわりしてるのが冬吾さんらしい。


 数日後、音楽はやらないのか?と冬吾。そんな気持ちにならない。
もう、わたしには何もない・・と心の中をぶちまける桜子。それなら、
と、川に行き、桜子の楽譜に火をつけて川へ投げ捨てる冬吾。
 ようやく、やめて!と楽譜を追いかけることができた桜子。久しぶり
の、自分からの心の動きだ。


 冬吾さんって、桜子のことははじめっからわかってる・・って感じ
なのが少しひっかかってた。「大事なものがわかったじゃないか」って
ぜんぜん慌ててないのがちょっとね。桜子と冬吾の関係に触れると、
難しいのだけど、お父さんみたいで、恋人みたいで、兄弟みたいだ。
血もつながってないし、小さい頃から知ってるわけでもないのに、
桜子と一番近い気がする。決して一緒になるわけではないのに、時折
笛子以上に冬吾と桜子が結びついているような気がして、危ない気が
するときすらあった。
 でも、何となく気づいた。このふたりは、同じ人なんだということ。
形や性や時を変えながら、同じもので出来ているような気がする。
だから、時に何も言わなくても、するりと相手のことがわかったり、
今度みたいにいきなりあらわれて寄り添ったりするんだろう。桜子が
したかったことを、でも、どうしてもできなかったことを冬吾がして
くれたんだろうな。冬吾にはわかっていたんだ、桜子の気持ちが。


 印象的だったのは、「わたしには音楽がある」とただそれだけ言い
切ったところ。達彦さんが望んでいたからとか、音楽をする限り、達彦
さんが側にいてくれる・・などとは、言わなかった。
 再生するためには、一度、全てを捨てなければならなかったのだろう。
楽譜を燃やしてしまうように、全てをないものにしてからでなければ
本当に欲しいものを見つけることは出来なかったのだろう。なにより、
誰かのため、や、誰かに頼って、ではなく、純粋に自分の意志で、
自分の心からの気持ちで始めなければ立ち直ることはできないから・・。


 明日はまた、心配な場面からはじまりそうですね・・。