撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

別れと出会いと ( スカーレット 52 )

師と定めた深野先生の長崎での新しい挑戦

尊敬する先生はなんとも鮮やかな転身を見せてくれるのだけれど

それはもう見事でさすがと嬉しくなってしまうほどなのだけれど

それでも喜美子はまたもや別れに出会わなければならなくなった

 

八郎とのやり取り

喜美子の「ええの?」にこたえる八郎の」「ええよ」の

その声の響きがなんとも言えず良くてクラクラした

丁寧な言葉の中にときおり混ざる親し気な言葉

思わずしゃべってしまうエピソードとけなげな決心

二人の距離がそれと思わず近づいたりもとにもどったり

きっともう八郎は恋し始めてるに違いない

少なくとも喜美子のことが気になってしまっている

もしお祭りでフカ先生と三人で歩けたら・・

悲しみを心にこらえながらそんな話を笑ってする喜美子

その喜美子を見る八郎はちょっと前にお祭りの話をしていた

八郎とはもう少し変わっている

今の君を慰めることはできないけれどせめて君の望むことの

ほんの小さなことくらいでもかなえてあげられるなら・・

そんな喜美子への想いがこもった「ええよ」に聞こえた

 

 

それでも・・

たとえ二人がもっと親しかったとしても

たとえば家族のような大切でかけがえのないひととであっても

喜美子のこの日の悲しみは喜美子のものなのだ

 

別れの悲しみはその関係の深さの裏返しかもしれない

その場で精いっぱいのことをする喜美子は

困難の中から楽しみと喜びを見つけ作り出す

投げ込まれた大阪での生活もしっかりと頑張って

別れが悲しくなるほどの関係をつくった

自分で選んで弟子入りした深野先生との別れは

考えればそれ以上に苦しいはずだ

次に喜美子を待ち構える出会いはどんなものだろうか?

いつか分かれることのない素晴らしい出会いに辿り着く日まで

彼女の自由と力が少しずつ大きなものになり

彼女の思い通りの道を切り開くことができますようにと

すっかり喜美子ファンになったもののひとりとして祈っている