撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

古巣

日曜日
少しだけ早起きして用事を済まして
ひとり車を走らせる
左手に海、前方には空だけが見える橋を渡る


カフカの緑の芝生の上に散らばるたくさんの子供たち
その子どもたちをとりまくたくさんの大人たち
昔よりももっと人数が増えたかな?と思いながらも
それでもどこか胸がきゅんとするほど懐かしい
その昔にはこの風景の中に自分もいたのだな



子ども二人がお世話になった
ラグビーのクラブチームの日曜練習
年長さんから中学生までが広い芝生のグラウンドのあちこちで
その学年担当のコーチの指導を受けながら
走り回ったりタックル練習をしたりボールの受け渡しをしたり・・
ぐるりを取り囲む場所にぽつぽつと日影をつくるテントをやタープを張り
休憩の子どもたちを迎え入れる準備をしつつ
おしゃべりに興じる母親・・と数年先には練習に参加しそうな小さな子



お願いしていた周年行事の記念誌を受け取って
お礼を伝えてからしばし新しく知り合ったそのコーチと話したあとは
大きなグラウンドを一周ゆっくり回りながら子どもたちの様子を眺める
この夏空のもと3時間近く動くのは大したもんだよなあと感心しつつ
それでも吹く風が心地よくて街中とは全然違うものを感じる


中学エリアに行くと知り合いのコーチが変わらずに指導されている様子も見える
声をかけられて視線をやると次男と同じ学年に子どもがいたお母さんふたり
この夏3人目が引退したよ〜という方とあと一年いますという方と
上の子が小1からだから数えると13年もここに通ってるよ〜って
すごいよね〜っていいつつうちも9年は通ってたんだわ(笑)


大学に入ってもラグビーを続けている子の情報をきき
えへへ、私もまた一緒に楽しませてもらうわって
花園でもお会いしたその家族とは今度は菅平で会おう!と
新しい約束を取り交わしてきた


小学生のころにお世話になったコーチとも出会い
しばし現況報告
次にお会いするのがいつになるかはわからないけど
またな〜!と言われてはい!また・・と別れて帰る


1時間と少しばかりしかいなかったはずなのに
なんだかずいぶん濃い時間を過ごしたようで
車に戻ると充実の感あり
しかしながら鏡を見ると日焼け一歩手前の頬の赤さで
腕時計の跡はすでについてるかも・・
ひゃあ!大変!と車を再度走らせ自宅に帰り
水風呂に浸かり熱さを鎮める
残ってた家事を済ませたら昼下がりの風に一眠りを誘われた



あの胸をつかまれたような心地は何だったんだろう
感傷?
懐かしさ?
ラグビーだけでなく
我が子だけでなく
9年のなかに詰まっていたいろいろな思い出
空も風も芝生の感触も
そしてさまざまなひととの出会いややりとりや


そこに変わらずある懐かしい場所
でも
もう戻れない愛しい時間
そんなものがごちゃ混ぜに一瞬襲ってきたような・・



古巣・・と呼べるのかどうか
でも大切な場所であることには違いない
もう自分のものではないことも含めて
眩しくて愛しい場所