撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

会話

あなたがわたしを確かめる
わたしがここに確かにいることを
ふたりがここにこうしていることを
眼差しで、指先で、ぬくもりで、並ぶ呼吸と鼓動で・・・


夢をみているような
水のなかに浮かんでいるような
風に吹かれているような
不思議に懐かしい気持ちで漂っていると
あなたの声が聞こえてくる


言葉も交わさないのに
わたしのからだの奥にあなたの声が響いてくる


あいしてる
あいしてる
あいしてる


わたしはまぶたを閉じたままただ頷く
空中に溜息を浮かばせながらただ頷く



わすれないで
わすれないで


ええ・・ええ
忘れない
忘れられない
ずっと覚えてる
きっと覚えてる
涙が溢れる
あなたがそっと口づける


ふたりの言葉のない会話は続いて
あなたが言いかける


僕だけの・・・


・・・


そう言いかけて
あなたはうごきをとめてわたしの髪を撫でた
わたしはなにも答えずにあなたの胸に顔を埋めた


言葉はことのは
さわさわとゆれるその胸の想いは
言葉にならなくてもこころをつたえることもあるのだ
こころとからだはつながっているのではなくておなじひとつのものだったのかもしれない・・・