撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

いつの間にやら

 明日の朝食の下ごしらえまでしていたらこの時間になった。それでも
ゆっくりお風呂につかるのは省きたくない贅沢な時間で、お風呂から
あがったら、家の中は静まり返っていた。みんなそれぞれに忙しく、
幸福なことに熟睡できるほどに、程よく疲れているようだ。


 玄関の鍵が閉まってないことに気づいて鍵をかけ、ふと見下ろした
靴の数々・・。私のスニーカーと、次男のスニーカーと、長男のブーツ
が、さりげなく並ぶ。靴のサイズが追い越されていたことはとうに
知ってはいたけれど、こんなに自分のが小さく見えたのは初めて・・。


 きっと、次男に身長をこされるのも秒読みの時期にきているのだろ
う。今日はまだ母の目線が心持ち高いけれど、ある日起きてきたら
上のほうからおはようの声が聞こえるのかもしれない。


 中身はまだまだ子供で、親として目を離すわけにはいかないけれど、
それでも・・・ちょっぴりたくましくなった彼を見るのは、この手を
離れていくのもそう遠いことではないのだ・・と覚悟することに似て、
まぶしいような、どこか切ないような、そんな気持ちを起こさせる。