撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

大丈夫だから・・(どんど晴れ)

 取り返しのつかないことをしてしまった・・と嘆く夏美に何もきかず
ただ、「大丈夫だから・・大丈夫だから・・」と受け入れる柾樹。大事な
ひとのくれるこの言葉はどんなに安らぐ響きだろう・・。


 子供のように眠る夏美。夏美の寝顔を胸を痛めながら見守る柾樹。
自分の居ない間に愛する人はひとりでどんな時を過ごしていたのか、
どれだけの想いに心をすり減らし、疲れ果て、行く当てもなく彷徨って
いたのか。何も出来なかったとしても、ただそばにいられたなら・・と
柾樹は思っていたのだろうか?


 言葉にならない想いを瞳が受けとめる。うずくまる心を暖かい腕が
抱きとめる。何も変わらないとしても、隣りに人がいるということは
どんなに暖かいことなんだろう・・・。


 それでも、はじまりはこれから。何が始まるかは、まだこれから・・。


 女将・環が、冷めた微笑みを浮かべながら、自分の夫に告げた言葉が
笑ったな。えみこさんも笑えるということは、まあ微笑ましい「上手く
ことが運んだためしがない」ものばかりなのでしょうけど・・。ふたりの
かたちも、夫婦のかたちも、さまざま・・なのでしょうね。