撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

変わっていくということ(どんど晴れ)

 2日間観てなかったら、ずいぶん様子が変わっていた加賀美屋。
なんだか私が旅行に出掛けていたあいだになにかあったの?って
気分でした(笑)。


 板場と柾樹の対立。昔からの慣習はどうしようもないと思って
いるひとと、今変えなければ未来はないと思っているひとの意見の
食い違い。板場だけではなく、帳場ですら、変えられるわけはない
それで柾樹が失敗して引き下がればいいと思っている。


 今日のセリフで印象に残ったのは、聡の「間違ったやり方を続けて
いくことと、伝統を守っていくこととは違う」というものでした。
そして、柾樹の考えていることを、結果がどうなるかは別にして
やるべきことだ、と。だれかがやらなきゃ何も変えられない・・と。


 本当に必要なことは、いまの形を変えないようにすることではなく
目指している形はなんだったかを忘れないようにすることだ。形・・
というのは言葉のあやで、形すら本当はないのだけれど・・だからこそ
守っていくのが難しいのだけれど・・。


 マニュアルではなく、一子相伝だとか、口伝だとかいうかたちを
とるのは、何も秘密にしたいからではなく、形だけを真似て真実を
伝えられないくらいなら、いっそ消えてしまったほうがいい・・と
まで思ったひとの想いからではなかったのかと感じる。


 夏美が、加賀美屋を好きだという気持ちは同じはずなんだから!
と言っていたけれど、その好きの気持ちすら、時が経てば、立場が
違えば、微妙にずれることもあり得る。必死で変えることによって
未来を守ろうとするひと。今まで守ってきたことにすがってともすれば
心中しそうなほどに頑ななひと。あたらしい風に期待しながら、歯がゆい
想いを秘めているひと・・。それをすべて同じ気持ちと呼んでいいのか
は、まだわからない。しかしながら、同じ気持ちでいる・・と信じる
ことは必ず通じると思う。そんなひとがいてくれることによって
まわりの人々が夏美の言うように、もっと素直な気持ちで、根本に
立ち返って、繰り返し繰り返し、話し合うこと、確かめ合うことに
よって、大事なものを守るために変わっていけるのだろうと思う。


 時江さんが、「そうではありません、夏美さんが変わったのです」
と言ったひとことも印象深かったなあ・・。


 それと女将、環さんの「事を急ぐと足元を見失うわ。そこがいちばん
肝心なところなのに・・」というのも深かったです。