撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

遠野(どんど晴れ)

 田んぼのあぜ道を歩く夏美とアキ。空を映す水を湛えた田。なんだか
ずっと昔を思い出すような懐かしい風景だった。観光協会からの依頼で
取材(?)に行かされた夏美。環がなにより勧める。遠野に何かが
あることは充分感じられていた。


 懐かしい風景、昔からの河童伝説。縁結びのおまじない。自然の数々。


 そして、思ったより随分早くあらわれた何だかこの人に違いないと
思わせる男性。(もちろん、河童釣りのおじさんのことじゃないよ)


 今まで出来なかったことをするには、どうしても開けなかった扉を
開くには、新しい人間が必要なことがある。加賀美屋の改革に柾樹が
必要なように・・。大女将があれが良かったのか悪かったのか分からない
というのは、どういうことなんだろう?いつも受け容れるゆとりを持つ
カツノが何だか揺れているのがちょっぴり不安を感じさせる。


 確かに、物事そのものにはいいことも悪いこともどちらだけという
ことなく含まれている。本当にいいか悪いかは、長い時間が経って
みないと分からないことも多い。その時はとんでもないアクシデント
だと思ったことが後々になってみればその未来の為には通らなければ
ならない道だったということもあり得る。


 カツノは、柾樹そのもののことを心配しているのかもしれない。この
改革が柾樹のどんな心からきているのか、柾樹のどんな未来を指し示す
のか、自分が死んだものとした息子は孫にどんな影響を与えたのか、
或いは、柾樹を可愛がりながらもどこかで柾樹にすまないと思って
いるのかもしれない。


 夏美さんには不思議な力がある・・座敷わらしの姿とだぶる夏美の
おもかげ・・。加賀美屋のために夏美が多くの影響を与えているのは
もちろんだけれど、それはなにより、柾樹と夏美が出会って愛し合った
から・・。その出逢いは、柾樹にとってなによりいちばん大きな影響を
もちろん幸せに向かう影響を与えるのだと信じたい。


 幸せをただ願うこと、好きな人の心の解放と幸せを願うこと・・。
「信じないものには見えないんだ」と言われるからには・・いや、ただ
信じ続けることによって叶う夢、幸せ、伝わる想いは必ずあると信じたい。