撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

この場所はゆっくりゆっくり走るのだ

 JR福知山線脱線事故から2年。いま、テレビでは、その
事故の事実を残そうと、体験者の手記をまとめて本にした方
の話があっていた。


 時間が経つにつれて、自分の記憶が曖昧になっていく。自分で
見たことか、あとでニュースでみたことか境目が曖昧になって
いくのが感じられて、正しい原因究明のためには、本当の自分の
体験を残したかった・・と。


 手記を集めるのは、並大抵のことではなかっただろうと思う。
それでも、しなければ・・という想いに支えられて・・。


 いくつかの紹介された手記のなかで、印象に残ったもの。
事故を風化させないということは、事実をそのままに残すとか
凄惨なその出来事を忘れないということ(だけ)ではなく、
なにかあたらしいものがそこから生まれていくことでもあるのでは
ないか・・と。事故のことが忘れ去られたとしても、伝説のように
「この場所はゆっくりゆっくり走るのだ」と、語り継がれるような
そんなことでもあるのではないか・・・と。


 効率や、経済効果などばかりが重要視される、この今の世の中。
なくしてはいけないもの、見失ってはいけないもの、大切に守り
たいもの・・そんなものが胸に生き続けてくれれば・・と思う。


 男と女にこだわりたくはないが、男・・または社会を支える人
には、自分の仕事への誇りを持って欲しいし、女または、命に
寄り添う人には、なにより、命の大切さと自然の大切さを・・。
 そんなちがうふたつのものが無理をせず、寄り添い、折り合いを
つけて幸せを求めていければ・・などと考えている。