撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

大丈夫(おひさま)

東京は大丈夫
日本は大丈夫よ
わたしたちの国はそんなにやわじゃない


おばあさまの魅力はなんだろうと考えてみる
なるほど、これまで華族のお嬢様で奥様で下々のものとは違う世界に住んでいて
そんななかであの年まで生きてこられてさまざまなものを持っていて・・
それでもそんな世の中がすっかりとひっくり返って大変な目にもきっと遭って
そしていま
ここでまるで初めての世界を体験していること
いままでしたこともないことを新しい世界で新しく生まれたような気持でやっていること
そのまるで娘さんみたいなはしゃぎぶりと、生きてきた重さと
その両方がちらりちらりと入れ替わり垣間見えることが素敵
失ったものを憂うよりも新しく目の前に広がるものに目を輝かせていることが素敵


陽子と真知子が育子を連れ戻しに東京にいったことがここで鮮やかに浮かび上がる
あの時代、東京を見た・・ということがどれだけ大きな意味をもつことか!
そこにいる身内の安否を心配するということがどれだけ大変なことか!


愛するもの、大切に守ってきたものを失う悲しみと苦しみ
しかしながらその大切なものは決してなくなったわけではないということ
誇りは誇りとして
命は命として
なにより
自分がその大切なものを命を紡ぐものとしてここにいること
悲しみや苦しみだけでなく愛した記憶も愛された記憶も身のうちにもっていること
明日に繋ぐことがなによりのことであること


大変さは比べられない
人と比べて自分は大したことないなんて思わなくていい
ただ大変だった・・それだけでいいのよ
本当に我慢しているひとにはなんて優しい言葉かと思った


徳子さんとおばあさまの会話での
「ありがとう」と「どういたしまして」
どれだけ込めても込め足りないほどの想いを溢れさせながら
それでもその重さに押しつぶされないように明るく進んでいく女たち
さりげないどういたしまして・・に笑えるふたりがいいなあ・・と思った