撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

刹那と永遠(純情きらり)

 冬吾は選ばれた芸術家なんだろう。桜子より格段に、桜子より純粋に。


 桜子は、冬吾のことを「命を見る力がある」と言った。美しさや、力強さや
命の輝き・・・そのものが秘めている、一瞬の真実を、浮かび上がらせて、
切り取って、映し出すのだろう。刹那の真実を永遠に残す・・・。そんな
普通の人々には出来ないこと、でも、願って止まないことを、冬吾はしている
のだろう・・と思う。


 瞬間には意味も理屈もない。ただ美しいきらめきを記憶するだけだ。
その一瞬を共有できたら、それは永遠の記憶に残るだろう、瞬きするほどの
瞬間の巡り合わせの確率だとは思うけれど・・・。


 しかしながら思う。刹那も永遠も、時を正確に刻む存在があってこそ
存在するものだと・・・。