撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

細胞

どこで聞いた話だったか
ひとの細胞は日々入れ替わり生まれ変わり
2カ月たつときれいにあたらしくなってしまうとか・・


だとしたら
ひと夜の夢はふたつきで綺麗に覚め
ひと月の逢瀬は満月を二たび、三たび見上げるあたりで
ようやく平常心を取り戻すというところだろうか?


そしてそのあとに残るのは
美しい景色
心地よい風
美味しかった食事
・・・
そう
幸せな記憶だけが
もういちど逢えることを期待して
かすかな面影のようなものを心の奥底に残す


わたしのすべての細胞が生まれ変わって
まっさらななにも知らないあたらしいものに変わったとしても
舌先で感じる微かな甘みのように
猫のひげの先の敏感な感覚のように
きっとあのひととのことは刻みつけられている
細胞の奥深く
一番大切なところに