撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

秋の音?

 車で博多駅近くを走っていたら、フロントガラスに何かが落ちてきてカツンと硬い
音を立てた。いったいなにが起こったの?とガラス越しに上を見上げる。信号待ち
で、止まっているバスセンターのビルの横の木陰。


 日差しを遮ってくれている木の枝はきれいな緑で涼やかに揺れている。でも何だか
木の葉以上にずっしりとしているような・・。なんと、この木たちは銀杏の木だったんだ!
まさに鈴なりに実った銀杏の実が木の葉と一緒に揺れているのが見える。いったい
いままでこの木たちの何を見ていたんだろう。いや、木があることすら意識していな
かったかもしれない。ノックにしては大きな音ではあったけれど、わかったよ。秋の
始まりを告げるかのような印象的な出来事。今年の秋はこの木がいつ黄金色に輝くかを
毎日確かめながらここを通ることにしよう。


 見慣れてはいるけれど、何ともなかった風景が、自分だけの馴染みの町並みの風景に
変わったような気がした。ちいさな幸せが音を鳴らして降ってきたのかもしれない。