撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

人生大芝居(ちりとてちん)

 ユウスケの隣で草々に頭を下げる喜代美の姿を見て
いると、「騙すよりも騙されたほうがいい」という
言葉を思い出してしまった。本当の気持ち・・それが
大切なのであって、それをどう出すのかはたまた出さない
のかはその時次第。


 3人揃って頭を下げる草々たちに、優しく声を掛ける
磯七さんの言葉は、親が子を思う気持ちのようにシンプルで
暖かかった。そして同時に、そんな磯七さんがそばにいなく
なることの淋しさと、磯七さんにとっても上方落語の地から
離れなければならない淋しさがにじんでいたような気がした。


 ユウスケと正平の関係も面白かった。嘘はほどほどに・・
そんな話をわざわざする正平も、正平にしては珍しいと思った
が、糸子さんに「甘えんでごめん」といったことで納得。僕は
できんかった・・というのはこれからしてみるという意味で
ユウスケにそんなことを言ったのも、その決心をしたからこそ
だったんだ・・となんとなく腑に落ちた。ユウスケが「やっぱし
正平さん苦手や」と言った言葉は、その字面とは裏腹に、「正平
さんにまた会いたい・必要なひとだ」と言ったように聞こえた
のはわたしの勝手な思い込みだろうか(笑)。


 糸子さん、おなじみの(?)パンツ持って登場。そんなのが
必要なんてウソ・ウソ(笑)。それでも人生にはウソも芝居も
必要なことは確か。大事なことはほんとの気持ちとずれないか
自分の身の丈にあっているか。正平の優しい気持ちも、必死の
プチ小次郎に扮する芝居も、親を超えて頑張ろうとしたから
無理があったんだろうと思う。


 人生はやりなおしのきかない芝居のようでもある。真実を
伝えるためには、素晴らしいつくりごとが必要なときもあるのだ。
 失敗は許されないのではなく、ない。しかしながらそれも
塗り重ねられていく自分のものなんだと・・そう思う覚悟が
あるかないかは大切なことのように思う。


・・・おまけ・・・

 子供の卒業旅行中だったため、帰ってから観て書きました。
実は行きの高速道路のパーキングでの休憩中にちょうど放映中!
というすごいタイミングだったんだけれど、集合時間が8時20分(涙)


 パーキングの片隅の天井近くに14インチくらいのテレビが
あって(昔ながらの食堂なんかにあるパターン)その前にお母さん
たちが自然発生的に集まって見上げてたのは笑ってしまいました。
 コーチに10分延長!とみんなで電波を送ってたのですが、立ち
去ってしまった・・。さすがに子供達の手前遅れられないので泣く泣く
あきらめてバスに戻りました。
 でも・・ほんとのところは・・土曜のちりとてを誰かと一緒に
観る勇気はなかったのだよん・・案の定今日観て泣いちゃったよお(笑)。