撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

もう大丈夫(ちりとてちん)

 草原にいさんが草々に言う「もう大丈夫や。おまえは
ひとりやない」。草々がずっと聞きたかった言葉。
 肉がぶつかる音がしたのではないかというほど(笑)
激しく草原の首根っこにかじりつく草々。そしてまた同じ
強さで四草をも抱きしめて・・。もう・・という顔をしな
がら、そんな草々の腕にされるままにまかせている四草が
可愛かった。


 人は言葉に酔わされ頼り惑わされるが、本当のこころは
言葉だけではわからないのだろう。本人が決していわない
行動のうしろにそれは隠されていることもある。
 天狗座になんども足をはこんでいた四草にしても・・
そして、なぜかよくあらわれる、寝床で「百個たのみい!」
といっている小草若にしても・・・。


 おまえは出来るんや・・と、草若師匠に髪の毛ぐしゃぐしゃ
にされて、ほっぺた挟まれたときも、泣かんばかりの草々に
首絞められているときも、嬉しくても不器用に笑顔を作ることも
出来ずに、自分の想いを持ちこたえるのに精一杯な四草のような
いじっぱりな人間もいるんだって・・自分のどこかにもそんな
心が隠れている気がして、胸がちくちく熱くなった。


 「霊柩車!」と、ほぼ同時におなじように手のひら握った
草々と喜代美が可愛かった。なんだか未来を予想してしまった。
 いい大人になった男の子をはたける女の人って憧れるなあ(笑)。