撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

笑う顔みて暮らしたい(ちりとてちん)

奈津子が喜代美に言う「あかんよ。変な気ぃつこうて自分の
道間違えたら・・」


 どうして人は自分のこともよく面倒みきれないくせにひとに
気をつかってしまうんだろう。ちいさなことならともかく、
どんな道に進みたいかという大事なことまで・・。自信がない
からこそ、迷う。そして、大事なひとにも、何故か自分のホント
の心を抑えて相手が望むものを考えてしまう。自分のことすら
分からないのに、ひとのことがわかるとも思えないのに・・。
 そしてなにより、自分だけが想っているのではなく、相手も
また同じ想いで想ってくれていることに気づかずに。笑顔が
見たいと思う気持ちもまた同じはずなのに、笑うことも忘れて
悩んで・・・。


 「不思議でたまらなかったんです」という喜代美が大切なこと
にひとつ気づいた。
吉田兼好は、暇やから徒然草を書いたんやなくて好きで好きで
たまらんから書いたんです」・・そうだそうに違いない・・と
またわたしも気づかされる。


 自分のこころが本当はどこに向かいたいと思っているのか・・。
「向き・不向き」とは、たやすくできることできないことでは
なく、どうやってもどうやってもそちらに惹かれて流れてしまう
こころの向き・・好きでたまらないこと・・なのかもしれない。


 そして、あの草々が、危なっかしいのにとても魅力的に見えて
仕方ないのは、剥き出しのこころで、自分の望むものに向かって
いっているからなのかも・・・と思えてくるのだった。