撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

おにいさんや(芋たこなんきん)

 「家庭を持ってへんのは半端もんか!」という昭一の言葉が
胸に突き刺さった。決められた形の枠の中に入ってくれていると
安心出来るところはある。しかし、本当に大切なのは、形では
なく、中身であり、目の前の出来事である。もちろん、きちんと
生きる、筋を通す・・などということを蔑ろにしてはいけないのは
当たり前のことだけど。人間として、押さえるところをきちんと
押さえたら、それ以外は肩の力を抜いたっていいんだよね。でも、
そんなことよく分かってるひとでも、身内のこととなると、また
別のお話・・って感じに熱くなるのもよくあることではあります。


 「つい、物干しで逆上がりしたんか!」といわれても仕方が
ないほど、大胆なことをしてしまった町子さん。でも、何となく、
その「つい」っていうのが分かる。ひっくりこけた町子さんが
上げた声は、とても甘えていたもの。言い方を変えれば、子供の
ような声だった。昭一さんには、そういう魅力があるのだろうと
思う。鯛子さんまで「お兄さん、もてるでしょう?」っていうのが
すごい!ひとが、思わず、素の自分をさらけだしてしまいたくなる
ような純な部分、それこそ「男の可愛らしさ」があるんだろうなあ
って思う。調子に乗りすぎると、「さあ、さっさと食べようね」と
お茶碗出しても無視されたりすることもあるけど・・。


 寅さんみたいに、時々現れては、風を(時に厄介なものも含む?)
入れてくれるような存在・・。でも、この上なくのんきに見える
お兄さんにも、なにか事情がありそうです・・・。


 ちなみに、私も自転車に乗れたのは近所の友達のおかげ(同級生の
男の子たちが後ろを持ってくれたり、自分の小さめの自転車を貸して
くれたりした)、逆上がりは、学校の鉄棒で友達と一緒に、特訓し
ました。・・・逆上がりの練習で、ジャンパースカートのうしろの
縫い目がばらばらと解けた記憶はあるのだけれど、どうやって帰った
のか記憶がありません・・・。