撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

母親として

 なんだかこのごろ少し落ち着いている。長男に勉強しろという
のはやめた。次男には呼ばれたらすぐ寄り添ってやることにした。
兄弟喧嘩に口出しするのはやめた。子供が話し始めたら、たとえ
興味のない話でも、わかんない話でも、面白そうに興味を持って
聞くことにした、途中で切り上げずに・・。


 気分が悪い・・早退するかも・・という長男に、前は大丈夫?
今日は何があるの?とか言っていたような気がする・・。このところ
悪かったらしょうがないよね、そのときはその時・・と言っている。
 4〜5回あったけど、いまのところ早退せずに済んでいる。今朝も
シャワーを浴びた後には「大丈夫みたい」と普通通りに出ていった。


 今回は彼の気持ちが少し分かる。校内の合唱コンクールを週末に
控えている。なんと彼は今年はクラスの指揮者になっているらしい。
彼なりのプレッシャーで、かなり揺れ動いている。中学も残り少なく
なってから、ようやく自分から少しだけ動き始めた気持ちが、健やかに
育っていってくれれば・・と願っている。


 もともとは、おしゃべりの好きな文系少年だったなあと思い出す。
下の子が生まれるまではおしゃべりしながらいっぱいお散歩した。
出産で私が入院していたときには、まいにち病院に通ってくれて
涙ぐみながら家に帰り、うちからも病室に電話かけてきて、だんなに
おまえたちは恋人同士か!と突っ込みを入れられるほどだったのも
今になってみると笑ってしまう。


 母親として、子供にしてやれるのは帰る場所をつくってやること
だけ。どんなことがあろうとも、どんなに疲れ果てようとも、ここに
帰ってくれば、とりあえず何も考えずにゆっくり休むことができる
なにがあっても受け入れてもらえるという安全地帯になること。


 母親として、自分のその気持ちを忘れずにいるために戻る場所は
幼い子供だった日に、何の疑いも持たずに自分を必要としてくれていた
あの我が子の瞳を思い出すこと。握りしめたあのちいさな手のひらの
暖かさを思い出すこと・・・。