撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

達彦の行方(純情きらり)

 かねさんのところに磯さんがやってきた。大好きなふたりの
掛け合いも、いまひとつ歯切れが悪い。それでも、いくらか
気心の知れた磯相手だと、意地を張る気分くらいは出たのかな?
達彦は必ず帰ってくる、桜子は達彦を待ってるんだから、帰って
来たら、山長にずっといるんだ・・って。


 それは、そのままかねさんの、望みだよね。勝手にここに来て・・
なんて桜子のこと言ってるけど、達彦が帰ってきてくれるかという
不安と、そのうえ、達彦がいないと、桜子もいなくなってしまう・・
手放さなければいけない・・という悲しさと、二重の苦しみなのよね。
 桜子が「達彦さんは必ず帰ってくる!そうですよね女将さん!」
といったときには、一緒にそうだそうだ!と言えないのが辛かった
よな。桜子が本当の家族だったらどんなに嬉しかったことだろう!


 磯さんは、桜子に達彦の部隊の話をするのだろうか?話をする
ことに、意味があるのだろうか?本当に帰ってきて欲しいひとには、
どんなことがあっても帰ってきて欲しい。それが奇跡に等しいほどの
わずかな確率であっても、あきらめてしまうなんてことはできない。
 

 話を聞いたからと言って、桜子がなにか吹っ切れたり、前向きに
なったりするとは思えないのだけど(いつも充分前向きだし・・)
 身内としては、山長で苦労させられてると思ってるのかなあ?
それとも、あんまり一途だから、すこしは覚悟しておいたほうが・・
というところかなあ・・。


 終戦記念日まであと一週間。わたしが子供の頃に比べると、戦争に
関する報道が少なくなったなあとつくづく思う。出校日に平和授業なんか
あったと思うけれど、いまは、安全面からの問題も出てきて、この時期
出校日もなくなったしなあ・・。


 戦争は二度と起こらない、絶対に起こさない・・というならそれも
いいんだけど、だれも分からなくなった上で、戦争なんて大したことない
ですよってな感じでじわじわとそちらに追いやられるためだったらこれは
大変なことだと思う。