撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

ずっと好きだった

18日にあるライブのチケットを行きつけの店に取り置きしてもらってたので
仕事を終えてから店のある中洲界隈まで行った
昼間ほどはないにせよ熱の残る街の風
そのなかにそこはかとなく漂ういつもとは違う祭りの風情
そうだった
博多祇園山笠、追い山はあすの早朝だった
この山の風景が見られるのもこの夏最後の夜なんだ


二十歳の頃だったか
高校時代の音楽部から付き合いの続く女友達が
真剣なそして申し訳ない顔をして告白をする
「あの1年生の合唱コンクール間際の山笠ね
 じつはあたし観に行ってたの・・・」
あはは〜!
初めての合唱コンクールは私にとっては犯すことのできない神聖なものだった
当時大好きだった指揮者さんのいいつけを守り
睡眠にも食事にも飲み物にも気を遣い
それひとつだけに命を掛ける様に真剣に向き合ってた
当然部内ではみんなそんなふうに言いあって
炭酸飲料も控え、夜更かしもしないように言い合ってた
数年のちにはもうどうでもいいんだけどね、そんなこと
彼女のその生真面目な告白が可愛くて
自分の高校一年生の時間も思い出して愛おしかった



学生時代
夏の強化練習の終わった後の打ち上げの帰り道
締めくくりの紅白戦でカップルを組んで踊った相手と歩いてた
誰もいない横断歩道を踊るように渡りながら彼がきく
「好きになったって、なにを?」
そんなこと言えるわけないじゃん
野暮なこときかないでよ
にっこり笑って答えてあげた
「タンゴ!」
肝心のひとことは言えなくても
一緒にいればわかることはある



忘れてた
夏にはいろんな忘れられない思い出がある
そこに至る積み重ねた愛しい毎日
暑さと夏休みの宿題しかないかと思って
いまひとつだと考えていたけれど


今年の夏の始まりに自分の気持ちに気がついた
ずっと好きだった
ん?
そう、夏・・がね(笑)