撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

眠れぬ夜に・・・


音楽と料理がどこか似ているといったひとがいた
音楽を説明するときにたべものの話をするとどこかあてはまると



彼女の音楽はどこか果物のような感触
病気の時に食べさせてもらったすりおろしたリンゴ
すこしばかり皮を剥くのに苦労する熟れ始めの白桃
秋のはじめのごく薄い皮の青い蜜柑
そしてなにより
赤く熟れてなお硬くすっぱい柘榴


おやすみなさいをいいながら
眠るまで手をつないでいてほしかった遠い記憶の中の女の子
親をなくした子どもがいつまでも大人になり切れずに泣いている夜