撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

さよなら(ゲゲゲの女房)

故郷との別れ、家族とのさよなら
布美枝が汽車の窓からちいさくつぶやいたさよならが切なかった
ただ、それは別れのセンチメンタルではなく
終わりと始まりの覚悟だったような気もする


「今生の別れ」というのはあの時代そうだったのだろうな
東京へ行き来している人にとってはそうでもないのかもしれないけれど
初めて故郷を出る人にとっては・・・
万歳三唱を聞いて思い出すのは戦地へ赴く兵隊さんへ贈る場面
今になって気付く
あれはお国のために散れとしていた万歳三唱ではなく
自分の手を離れて運命へその命を任せなければならない人への
精一杯の幸運を願うはなむけの言葉だったのだ


いま・・・親の手を離れてふたりの生活へと向かう


みかんを剥かずにそのまま渡した布美枝には緊張を感じ
自分でできますから、と言った後にすこし布美枝をうかがった茂に好感を持った
まだ何も分からないふたり
自分を出したりひっこめたり
相手を気遣ったりどう思ったか心配したり
これからどんなふうに打ち解けていくのか
ちょっぴり甘酸っぱい気持ちになりながら見守っていきたい