撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

つなぐもの

 花園準決勝、東はその前の試合よりも点差をつけて勝った。ダンナは「楽な試合だったね」と言った。そうかな?と思う。確かに勝ち負けからいえばそうだろうけれど、たしかに仰星とのきつさに比べればそうだろうけれど、はたから観たら楽な試合かもしれないけれど、彼ら自身にとってはどれも同じだけ全力で戦っている試合なのじゃないかと思う。楽だったかしんどかったかは後からついてくるだけで・・・。


 逆に、この間の試合でも、今回の試合でも、「こんなに点数が開くと気持ちがしんどいですね」というようなコメントもあったけれど、どんなに点差が開いても彼らのどこかにそんなことを超越した、ラグビーそのものを楽しんでいるような気持ちよく興奮した明るい表情を感じるような気がした。


 ふと思う。彼らのような、自分のすべてを出し切ったゲームをしているものにとっては、勝ち負けを超えたものがあるのだろう。謙遜でもおごりでも、負け惜しみでもいいわけでもない、たしかにそんなものがあるのだろうと感じる。もちろん、勝負は勝負、勝ちたくないわけではないし、最後まで負けたくないと思っているからこそ、あんなに素晴らしいプレイができるにきまっているけれど。だからこそ、だからこそ、そうなんじゃないかと思わせられる。彼ら本人がそんなことを考えているか考えていないかにかかわらず、みているこちらのほうがそんなことを感じさせてもらってしまうのだ。


 藤島大さんのコラムのバックナンバーをよんでいたらこんな言葉が出てきた。
「迷いのないパスにトップスピードで走りこむ」
 ラグビーを楽しんでいるチームはそんな場面をよく見せてくれる。その鮮やかさに目を奪われる。その美しさは一体なんだろう?ラグビーの魂を受け継ぐものがその心をつないでいる・・・そんなことを想像してまた彼らから目が離せなくなる。