撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

始まりと深まり

 ある文章で、なんだろう?と見かけて、なんだ○○だ・・と分かると
たいていのひとはそれを見るのをやめる・・というようなことが書いて
あった。そこまでは好奇心、それからは愛情だと。たとえば画家は、
それがなにか分かってからも、それを丹念に見つめる、その時々に違う
それをいつも見つめる・・と。


 花を美しいと見つめたり、空の雲を飽かず眺めたり、木々の揺れる
風景にしばしその身を置いたり・・日常に愛情を感じる一コマ・・・。


 人に対してもそうなのだろうか?・・!と思う。


 様々なひと、数限りないひとと出会いながら、たいていは気が合うと
か、分かりやすいとか、同じ考えを持っているとか、またはどうも苦手
だとか、好きになれないとか、知らない間に振り分けて安心している。


 しかしながら、その振り分けに入らないひとこそが通り過ぎることが
できない大切な関係を作りたい人なのかもしれない。血を分けた肉親
然り、契りを結んだ特別なひとも然り、そしてまた生きていく日々の中
にどういうご縁かとても大切な人々・・・。


 好きな部分も、嫌いな部分も、もちろん持っていて、すべてを知り
つくしたような気安さと何も知らないような畏れをいつも同時に感じ
させられるような・・・。すべてを知りたいような・・知ることなど
何の役にも立たないような・・・。


 始まりは好奇心。深まりは・・・やはりこれは愛情・・なのだろう
と、どこか懐かしい気持ちに胸を熱くしながら考える。いや、考える
のではない・・感じるのだ、自然に心が動くのだ・・と思う。