撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

雨を見ながら

 昨日は(今朝は)明け方まで起きていた。夜半に雨足が強くなる。
それまでなんともじっとりと蒸し暑かったので縁側のガラス戸を開けて
風を入れていた。雨の音がする。雨の降る匂いがする。ふと・・・
季節が変わったな・・と感じる。何だか懐かしい匂いがするんだ。
いつかどこかで感じたことのある・・と漠然と思い出す。


 春、草の萌える匂い。夏の雨の匂い。秋の金木犀。ふゆは?ストーブ
?それともそれとも・・・。風の音、雨の音、しんと静まる空気・・
名状しがたい想いと、数限りない思い出と、ひそやかにリンクしながら
また新しい記憶を重ねる。


 庭を見るとアカパンサスの花が蕾をつけていた。今年はまだ緑。
蕾もよし、花もよし、散るもまたよし。すさまじいほどの雨の音を
聞きながら、雨をみながら、なんとも不思議な気持ちになった。どこ
か不安なやるせない気持ちと、なんとも安堵する気持ちと・・・。
 守るべきものを持った幸せな切なさと、かつて守られていたその
幸福感と・・たぶんそんなものがない交ぜになっておそってきたような
気がする。雨にうたれてしなだれながら、それでもきっと今度晴れる
日には前より強くなっているだろう・・そんなことを予感しながら
今日は雨の中出かけることにしよう。雨の日も悪くない・・・。