撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

それぞれの時間(ちりとてちん)

 女は「変わりませんね、あの頃とひとつも・・」と呟く。
懐かしいと言い交わすふたりの時間も男の「時間が解決して
くれるもんなんやなあ」と言う一言で一瞬凍りつく。


 清海にいつ好きになったのかときかれて、ずっとひとりで
かかえてたんやなあと思うたらいじらしいなってしもうたんや
なあ・・とあの頃の気持ちを振り返る草々。


 恋は生もので、いくら綺麗な思い出になっていたとしても
それはもうフリーズドライと同じくらいもとのものとは似てても
違う。冷凍保存してまた出してくることなんて出来ないんだ。


 三味線を見て高校時代を思い出す清海。さりげなく三味線を
とりあげ、こともなげに音を出す喜代美。切り離された思い出
と、ずっと流れ続いている時間がある。


 何か思惑があって何か企んでいそうな清海ではあったけれど、
何だか心の底が透けて見えてくるような気がした。嫌いな男の
顔なんかどんな時にもわざわざ見たくない。「ひとりで抱えて
しまう」A子の心に気づいてくれた唯一の男だったんではないか?
草々という男は・・。思わせぶりな表情も、芝居でやる分なら
いくらでもできるが、そこに本当の心が重なってくるようで、
たじろいでいるように見える。泣ける場所が・・抱き留めて
くれる胸が、頭を撫でてくれる手のひらが欲しいんじゃないの
・・清海ちゃん。


 草々の眼差しが優しかった。師匠・・と呼ぶにはまだまだ
照れるような気もするが、師匠が弟子のおとうちゃんだと言う
けれど・・清海を見つめる眼差しはすこしだけ、そんな種類の
優しさも宿していたような気もする。


 最後の電話はいったい・・ユウスケが徒然亭の名を騙って
何か悪いことでも・・?それとも和田家もまっつぁおの
いないはずの家族でも登場するんだろうか?(笑)


 それにしても、何かあると「全員集合!」と集まってくれる
徒然亭一門のみんなが素敵です。四草頼りになりそうだし・・。
咲ちゃんもまたなんか頼りに(?)なりそうだねぇ(笑)。