撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

いつもそばに・・・(ちりとてちん)

 菊江さんが差し出したとっくりを受け取り、草若の盃に
小草若がお酒を注ぐ。受け取り、また返す草若。言葉は
最小限でも伝わっていく想い。草原へ・・四草へ・・。


 胸がいっぱいで・・と、その中にも入らずひとり佇む
草々。となりにすわる喜代美。


 落語をする!と決心する喜代美。その前に、涙をこぼし
ながら草々へ訴えるその言葉では、「落語」を「草々」に
変えてもいいんじゃない?と思うほどに切なかったけれど
いま、考えると、喜代美のそばにいつも寄り添っていたのは
本当に「落語」だったのだ。


 しかしながら、その想いを伝えるのは、それを運んでくれる
ひと、気づかせてくれるひと・・。または、ひとの想いを
のせてくれるものごと・・。草々が「おれにとって落語は
草若師匠なんです!」と言っていたことを思い出す。



 ひとつの盃ができるまでに、土をこね、かたちづくり、
火をいれ、釉薬が色を出し・・と様々な手や影響が加えられる
ように、想いがかたちになるまでにも多くのことが起こる。


 想いのあるところに、波紋が起こり、波が生まれ・・
そしていつか流れができるのだろう。ひっかかりや悩みや
切なさやときめきも、やがて「愛情」という、流れになって
いくのかもしれない。