撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

大女将の立場(どんど晴れ)

 冒頭、カツノと柾樹のツーショット。あら、この二人って
なんでこんなに似て見えるのかしら・・と、加賀美家の物語
に、しっくりとはまっている二人の役者さんと、それを楽しま
せてもらっている自分に気付く。


 柾樹の淋しさを知りながら、どうしても大女将の立場として
家の一番上に立つ人間として息子を許すことが出来なかった
カツノ。本当は許したかったろうに・・。だれよりも我が子を
受け容れてやりたかっただろうに・・。


 しかしながら、だれが許してもそれは許せない。ただひとつ
あるとしたら、政良本人が加賀美の家に、加賀美屋に自ら来て
謝り、けじめをつけること・・それだけだ。柾樹が、今までの
自分をみんなの前できちんと頭を下げて謝ったような、そんな
強さを政良が持てるかどうか・・だ。政良が加賀美屋にした
ことを考えると、彼が背負っているものは重い・・その自分の
重荷を背負ってそれに耐えられるか・・だ。みんな心の中では
とっくに許しているのではあるだろうけれど・・。


 夏美に、私が死んだ後には・・と告げるカツノ。そこまでして
も、許すことを許されない大女将の立場というものが切ない。
しかしながら、その立場を理解してくれるひとが家の中にいる
ということは、大きな救いかもしれない。いつか、そのしがらみ
から解き放たれたときには・・・。その糸をほぐしてくれるのは
やはり、同じ立場に立つことになる環なのであろうか?
 まだ大女将の立場を離れることのできないカツノ。息子政良が
背負っているものを、許さないことによって、母カツノも共に
背負っているのかもしれない。