撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

想像力と洞察力

 大好きな田辺聖子さんの小説の中で、想像力と洞察力の違いに
ついて触れるくだりがある。確か・・想像力は相手への暖かい
思いやりからくるものだが、洞察力は突き放した客観性から
くるものだ・・とか・・ちょっと違うかも知れないけど・・(笑)。


 確かに・・あいつってこんな考え方するよな・・なんて話して
いるときはどこかそれを楽しみの道具に使っている自分が見える。
 好きなひとのことを考えるときですら、ほら、あたしってこんなに
あなたのことわかっているのよ!と得意顔でいる自分が透けて見える
ことにきづかされてぎくりとすることがある。


 洞察力は間違っていたら恥ずかしいだけだ。しかしながら、想像力は
正しいことや間違っていることなど問題ではない。それは、自分の
気持ちを鏡のように映しながら、ただ想像するだけなのだから・・。


 ひとは誰でも自分だけにしか分からない想いを抱えながら生きて
いる。時には触れられたくないものを必死に守りながら耐えている
ときもあるだろう。泣きたい想いを心の底に沈めて、笑顔を見せて
いることだってある。そんなときに必要なのは、心の奥底までかき
混ぜてあからさまにすることではなく、心の底に沈むものを想像
しながら一緒に笑うことなのかも知れない。


 ひとを想う時には、策略や武器ではなく、信じるこころや愛する
こころをもって向き合いたい・・・そう思う。